『13の理由 シーズン2』時には世界を狭くすることも大事なんじゃないか。【Netflixオリジナル】

Netflix
!ネタバレ有りの感想です!

85点

▼Hi,わたしまんぼう、ステレオ音声でお届け中。

Netflix、人気ドラマの『13の理由』。そのシーズン2を見た。

まず、シーズン3作る気満々だな!っていうオチ。よっぽど人気なんだろう。おもしろいもんね。

高校生のいじめ問題、自殺問題を題材にしたこのドラマ。シーズン1は自殺したハンナベイカーが遺したテープを主人公や周囲の人たちが聞き、ハンナの自殺の真相へと迫っていくというストーリーだった。
シーズン1でストーリーが完成していたので、シーズン2の制作の話を聞いたときは完全に蛇足だと思いました!
余計なものを付け加えたり、第二のハンナみたいなストーリー展開で13の理由の世界を薄めてチープにしてしまうものになるだろうなって思ってた。

しかし、予想を裏切り、よかったよ!!!おもしろかった!!

『13の理由』(2017/2018)


出演:ディラン・ミネット、キャサリン・ラングフォード、アリーシャ・ボー
原作・制作:ブライアン・ヨーキー

Netflix作品ページ

あらすじ

なぜ彼女は自ら命を絶ったのか? その謎が明らかになるにつれ、高校の同級生クレイ・ジェンセンをはじめ、彼女にかかわった人たちの苦悩が浮き彫りになっていく。
Netflixより

時には世界を狭くすることも大事なんじゃないか。

『13の理由』の大きなテーマはいじめ問題、ではあるけれど、お国柄か日本で想像するいじめ、とは大きく違う。
そしてテーマはいじめ、だが、この作品『ハンナが』なぜ死んだのか、『ハンナの』死、の物語なのだ。

シーズン1はハンナがなぜ自殺に至ったか、というのをハンナの目線(遺されたテープ)で追っていく形だった。シーズン2ではハンナの自殺に対する責任を学校に求める裁判で、周囲の人間たちが証言する中で『周囲の人間』から見たハンナが語られていく。
テープには入らなかったこと、語られなかったこと、周囲の人間がどう思っていたかが明らかになっていって、物語が深みを増していく。

『13の理由』の登場人物たちは正義、と、悪では塗り分けることができない。
ハンナを死に追いやった出来事、理由のひとつずつは些細なこと、と言ってしまえることなのだ。色々な出来事、ひとつひとつ、どれにも強大な悪意はなかった。
ハンナが憎いとか、死んでほしいとか、苦しめてやろう、なんて悪意を向けたわけじゃない。小さな見栄や嫉妬、人間関係で起こる些細な不具合が『ハンナにとって』は大きな苦痛だったのだ。そしてそれらの積み重ねがハンナを死に至らしめるほどの大きな理由になってしまった。

いじめと聞くと本人が嫌がっていることを自覚して、嫌がっていることだからこそする、という悪意が見えるものが多い。シーズン2の最終話、タイラーが暴行されるシーンがまさにそれだ。トイレで頭を洗面台に打ち付けられ、モップを尻に突っ込まれる。相手が嫌がると理解して、苦痛を与えようという意思を持って、してはいけないことだとわかりながら、行動する。日本で映画や小説のテーマにされるいじめ、イメージするいじめはこれが多いと思う。学生から遠いとこで生きてるので実際のいじめがどういうものかはわからん。

ハンナが友人たちにされたことはそうではない。シーズン1の3話に出てきた【Hot List】なんかがいい例。日本の卒業アルバムでも見るような勝手なクラスランキングみたいなものだ。そのリストをを喜んでいる女生徒だっていた。セクシーだ、という言葉は、褒め言葉にも蔑む言葉にもなり得る。
生徒たちにからかう気持ちが少しはあったかもしれないが、褒め言葉の範疇でこのリストを作ったはずだ。しかし、『ハンナにとって』はそうじゃなかった。吐いた方の気持ちではなく、受け取る側の気持ちが大事なのだ。

周囲の人間も、嫉妬や見栄やよくない感情からくる行動だったとしても、ハンナを傷付けたいと真に思っていたわけではない。だからこそ、ハンナの死後、テープを聞いてみんな気づいて傷ついたのだ。
ハンナを自殺に走らせた引き金、ブライスのレイプさえもそう。勿論レイプ自体は真っ黒な悪である。してはいけないことだ。しかし、みんなやりたがっている、というブライスのセリフ。あれはかなり彼の本心なんだと思う。やりたがっている、と思っていた。死んでしまうほどの苦痛だとは思わなかった。ブライスにもハンナを傷付ける意図はなかったのだ。彼はしてはいけないことをしたし、道を誤ったけれども、悪意だけの行動ではない。

何年か前から思っていることなんだが、時には世界を狭くすることも大切なのではないかと思う。広い視野で見ること、ワールドワイドな視点が良しとされているように感じるが、個人の幸福を追求するのならば世界を狭くして見ることはとっても重要に思える。
いじめ問題について、『このクラスにいじめはありましたか?』なんて広い視点の質問は無意味だってことだ。『この程度で苦痛なのか、自殺したいほど思い悩むのか』『もっと他にも辛い人が』なんてことも無意味なのだ。
いじめと誰かが定義するものに当てはまることが大切なのではなくて、その人自身が、『13の理由』で言えば、ほかの誰でもない『ハンナベイカー』が、自殺するほどしんどいことがあった。この狭い視点こそが重要で、真実なのだ。

フラットな視点で描かれるいじめ問題。

『13の理由』はかなりフラットな視点で描かれているように思う。ハンナの自殺さえも良いこと、とも悪いこと、とも物語自体では設定していない。周囲の人間からすれば過ちではあるが、自殺なんて絶対ダメ!自殺したハンナは悪い!なんて価値観はない。死ななくてもよかった、もっとできることがあった、と後悔の念をそれぞれ色々な形で抱えるが、物語がハンナを責めることはしない。
いけないことをいけないこととはしながら、それを押し付けのように糾弾はしないのだ。

LGBTに属する人間が多く出てきたり、それぞれの人間が色々な思いを抱えていたり、多様であることがとてもフラットに描かれていると感じた。人と違うことを過剰に賞賛せず、かつ過剰に蔑むこともしない。ただそれに対してひどいことを言う人も、受け入れる人も、それ自体に悩む当人も存在する。様々な人、意思が存在してぶつかりあっている、そのフラットさがとってもリアルなんじゃないかと思う。

裁判の判決が一応ハンナの事件の終幕だとして(シーズン3がどうなるかわからないが)、その結末がもやっとしたものであるのもまたリアルに感じる。
ブライスを完全な悪とはせず、ジェシカのの気持ちを組みながらも、若者の未来を守りたいとした裁判官の気持ちもわかるのだ。そしてジェシカの気持ちもわかるのだ。両者の気持ちがわかるからこそ、判決にはもやっとした気持ちが残る。
しかし、ブライスだけが悪者として着地しないことこそ、『13の理由』がリアルに感じておもしろい理由だと思う。ブライスが罰せられ、勧善懲悪で終わっていたら、リアルさを一気に失ってただろう。

さて、私は14歳の半分は死にたいと思っているという偏見を持った死にたい14歳だった。そして死んだあとの世界になんか興味がなかった。きっとみんな、少し驚きはしてもすぐに変わらない、私だけがいない世界になるのだろうと思っていた。
『13の理由』を見て、そうじゃないかもしれない。とすこしだけ思う。ハンナが死んで、彼女の周りは元の世界には戻らなかった。ハンナだけがいない世界にはならなかった。死んでも彼女の余韻は残る、残り香のように。
14歳から随分と横スクロールで進んだ先に立つ私は、あの頃のように死にたいとは思わないけれど、私だけがいない世界、に対してあの頃よりも少し希望が見える気がする。

 

『13の理由』に倣った締め方で終わろう。

助けが必要な方はこちらのサイトへ。

Netflix Resources | Find Information, Resources, and Support
If you or someone you love is struggling with Sexual Violence, Mental Health and Well-Being, Self-Harm and Suicide, or Bullying there is help.

といっても日本語対応してないんだろう、って言おうと思ったら、なんと日本語にも対応してたぜ!!

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