80点
良かった〜!いい映画だという評判は耳にしながらも中々手を付けていなかった『ザ・コンサルタント』を見た。良い。良いぞ…。
ベン・アフレックの映画に外れはないな〜という偏見が強化された。細かい展開も飽きずにいい塩梅で夢中になれるのは勿論のこと、ラストの終わり方が痺れる…。いい…。いいぞ…。
『ザ・コンサルタント』(2016)
制作国:アメリカ
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ
あらすじ
田舎の会計コンサルタントに大企業から財務調査依頼が舞い込む。実は彼には、世界中の悪人の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋、腕利きの殺し屋という別の顔があった。Netflix
出てくるキャラクターが皆憎めない!
人は多面的だよねって言うのがこの映画のテーマだろう。
全ての登場人物が一面だけでなく、色んな顔を持っていることが描かれている。
例えば主人公のウルフ(ベン・アフレック)。彼は高機能型自閉症であり、コミニュケーション能力には欠けるがその分数学的才能がある。そして彼なりの信念(こうあるべきという彼の正義)を行使しながらも、闇社会と付き合い、その会計士として活躍もする。ただのヒーローではないのだ。彼自身も罪を犯しているし、闇社会全てを駆逐してやる!みたいな正義感はない。ただ、彼の中の正義に反したもの(彼が慕っていた父のような存在を拷問で殺した奴ら)には容赦なく、殺人まで犯す。
義手義足会社の社長も、身体的欠損を負った人たちへの救いとなるような義手義足を開発・販売しながらも裏では金に汚く悪事に手を染めていた。それを邪魔する奴を容赦なく殺しもする。
万人に好かれる人はいないように。万人の意見が一致することはないように。どんな行為も見る立場によっては正義となり悪となる。正義と悪とは相対的なもので、絶対的な正義もない悪もないのではないかと思えてくる。
さらに全ての出来事が連綿と続く事象であり、ひとつの部分だけでは判断できない、してはいけないと言うのもテーマかも。〝人殺しの場面〟だけ切り取って見れば紛れもなく悪に見えるが、ウルフが社会で生きていける術を身に付けることを根気よく教え、本当の父からは欠けていた部分の愛情を注いでくれたおじさんが惨い拷問の末に殺されたことへの復讐だったとしたらそれを本当にただの悪だと言えるだろうか?
正義と悪は誰に肩入れするか、何に愛着を持つかによって簡単に変わる。
ラストシーンの良き良き。
ストーリーも去ることながら!ラストがいいよな〜。
てっきり恋仲になるだろうな!ってくらい危機を共に乗り越えたり、いい感じの雰囲気なったウルフと女が恋仲にならなかったのがいい…。
これだけ時代が進歩してもやっぱり家族や愛を手に入れることこそ、正しくかつ人類最大の幸福である!みたいな映画が多くてさぁ〜。それもいいんだけど、これだけ人はそれぞれ多面性があるよねって映画で昔からやり尽くされた恋愛こそ至上の幸福!をやられたらちょっと萎えちゃうとこだった。お互い人として惹かれ、新たな場所へ旅立つウルフってのはベストな終わり方だろう。
ウルフの相棒オペレーターの存在が明らかになるシーンもめっちゃ好き…。痺れた。。最初に少年ウルフが訪れた施設でパズルを拾ってくれた女の子がまさかオペレーターのお姉さんだったとは…。最高の伏線回収だ…。彼らは彼らなりの方法で分かり合い、通じ合ってたんだ〜〜って思うと…。表面を見ただけじゃ何もわからないね。