『The Sinner -隠された理由-』(2017)シーズン1:コーラ|氷が溶けていくようにゆっくりと真実が明らかになるサスペンス

Netflix
!ネタバレ有りの感想です!

65点

ゆっくりと隠された真実が明らかになる良作サスペンス!
サスペンスと一口に言っても、アクションにステータス値を振っていたり、残忍な描写に特化していたり様々だが、この作品は正統派とも言えるサスペンスだ。
ミステリー小説のようなサスペンス、というのが一番しっくりくる表現だろう。
ちなみにタイトルの『The Sinner』とは罪人という意味。シンプル。

『The Sinner -隠された理由-』(2017)


出演: ジェシカ・ビール、 ビル・プルマン、 クリストファー・アボット
監督: デレク・シモンズ

Netflix作品ページ

あらすじ

白昼の浜辺で、いきなり見知らぬ男に襲いかかり、刺殺した若い母親。彼女の抱える深い闇を感じ取った1人の刑事が、失われた記憶の中に眠る真実を探り出す。Netflix

ホワイダニットを丁寧に10話かけて描いたミステリー

ミステリーにはスリーダニットというのがあり、

  • who done it.
  • how done it.
  • why done it.

の3つである。

  • 誰がやったのか(犯人は誰か?)
  • どうやってやったのか(アリバイや手法のトリックは?)
  • なぜやったのか(犯人の動機は?)

というもの。

ミステリーにはこのどれかひとつ、もしくは複数が描かれているのだが、この作品は最初に『誰が誰をどう殺したか』=who done it. how done it.が提示される。

そして犯人自身、本人もわかっていないwhy done it.(なぜ殺したのか?)を刑事のおじちゃん(おじいちゃんのが適切かも)を探っていく、というドラマである。

おじいちゃん刑事(アンブローズ刑事)が、殺人犯となったコーラの過去を探っていくのだが…少しずつ明らかになる真実は意外性があって面白い。

殺人を犯したコーラ自身も、アンブローズ刑事も、視聴者と同じく何も知らない(わからない)状態なので感情移入というか…同じ目線で事件の真相を追うことができる。

この作品の魅力は、犯人が敵ではないってところかな。
刑事もの・ミステリーでは、犯人を追い詰めるためにスリーダニットを探して奔走するものが主流だった。
the sinnerでは、犯人、タイトルに従うのなら罪人を”救うために”、”妥当な判決へと導くために”、アンブローズ刑事が真実を追求する。

シーズン2よりシーズン1のが面白かった

徐々に明らかになっていく真実は予想もつかない展開を見せて面白い。
育児ノイローゼから来る衝動的な犯行かと思われていた背景には、難病の妹の不慮な事故、それを隠蔽しようとした妹を殺してしまった医大生、その医大生の親の間違った愛情と、複雑に絡み合った真実は冒頭の殺人からは全く想像がつかない。

ただ、見終わったあとに思ったことは、殺人は殺人なわけで…。。
コーラが殺してしまった医大生の親は、息子の殺人を隠蔽し、そのことをコーラ自身が忘れるように薬漬けにしたりと悪いことをしたわけだけど。当の被害者、コーラが殺した医大生くん自身はそこまで悪くなかったわけで…。
背景にそういう理由があろうとも、推定無罪ってどうなんだろうと思ってしまう。
悪意なき殺人は罪ではないのか…。

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