『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017)期待を高くしすぎた…がっかりホラー映画

Netflix
!ネタバレ有りの感想です!

35点

期待してたんだけどなぁ。『92分、あなたは<精神を保てるか>』というポスターの文言。『イットフォローズ』の制作陣。ホラー苦手を克服しつつある今日この頃。まだ見たホラーは少ないけど、『イット・フォローズ』は面白かった。なのでこれは期待せずにはいられない!と思っていた…んだけども!!
期待を高くしすぎたなぁ…とてもがっかりなホラー映画だった。

『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017)


出演: ジョエル・エドガートン、クリストファー・アボット、カーメン・イジョゴ

Netflix作品ページ

あらすじ

謎の感染から逃れるため、森の中の一軒家に隠れ住む一家。妻子を守るという強い使命感にかられる父親の前に、ある日、見知らぬ家族が助けを求めて現れる。Netflix

終末ものとしてありきたりな展開

引用元:https://movies.yahoo.co.jp/movie/365546/

ざっくりとストーリーを説明すると、謎の感染症が蔓延り、人類が絶滅に瀕した終末世界で細々と生きる家族の元に、別の家族が転がり込んでくる。物資も限りある中、隠れるように生活する二家族の関係性が崩壊していくシチュエーションホラー。

終末ものを見慣れた人にはだいたい想像がつくでしょ。狭い家の中で他人と共同生活を強いられたら何が起きるか。余裕のない極限状態で、終末という厄災よりも人間が一番恐ろしく、疑心が身を滅ぼすという展開。いっぱい見たことあるなぁ…。
相手の家族が病気に罹っているに違いない!!と思い込んだ元々の家主家族、主に父が相手家族を皆殺しにしてしまうし、息子は最終的に発病してしまうという絶望エンドも想定の範囲内。
小さな二家族&極限状態の話として描かれているけれど、現代社会の縮図として見れるよねっていうのも擦られすぎて原型がないレベルだしなぁ。

謎の感染症が蔓延り、隔離生活を強いられるっていうシチュエーションは今のコロナ禍を思い浮かべずにはいられない。
コロナ禍で思ったのは、終末もので描かれている終末の、始まりはきっとこんな感じだったんだろうか。アポカリプスの始まりが現実になった…と思った。そして、世界ってそういう終末もので描かれるほど急速に壊れはしないんだな、と。
終末ものでは定番の暴動や、略奪や、自分本位な人間の本性とされているものって、世界が危機的状況に陥ってもフィクションの世界が想定していたほど起こらないものなんだな。危機的状況が終末もので描かれるほどではないから?とも思うけれど、イタリアなんかの事例を見ると、高齢者を救うことを諦め、若い人から優先して医療を施す、なんてのは罹患した高齢者、その家族からしたら相当な危機的状況でしょ。
でもそれに対して暴動が起きた、反対が起きたなんてニュースは耳に入っていない。どちらかと言えば心温まるニュースの方が多かった。
暴動といえば人種差別に関するものがこのコロナ禍と同時に起こったけれど、自分本位な暴動ではなく、自己の権利と、他人の権利を認めろという主張の元の暴動だ。(乗っかりも多そうではあったが)
日本ではマスク争奪戦が暴動・略奪に近いものかな、と思う。限られた物資を自分だけは手に入れようと各地で躍起になる人たちが居た。でもそういう人ってこの状況で初めて自己中心的な”本性”を露わにした人なのか?元々各所で分散的に起こっていた”厄介”な人たちの行動が、同時多発的に起こることによって目についただけなんじゃ?
要は、終末もので描かれるほど”人間の本性”って悪くないんじゃないの?と思って少し希望を見た。元々狂った奴らの行動は増長されるかもしれないけど、”善良な一市民”はそうそう簡単に凶行には走らないってことだ。

感想

本題の映画の感想は、といえば、画面が暗すぎる。音でびっくりさせるタイプの苦手なホラー。疑心がテーマの割には二家族のやり取り(疑い合い)みたいなのが少なすぎる気が…と、なんとも肌に合わない映画だ。
『イット(ソレ)』が指すものは結局何だったのか?感染症など本当にあったのか?というところを考察するタイプの映画なんだろうけど、考察するには少し情報量が少なすぎる。
『イット(ソレ)』っていうのは疑心を指してるんだろうけど…。夜にやってくる感染症ってのはよくわかんないし。ラストで息子の肌に湿疹のようなものが出ているから感染症自体は本当にあるんだろうな。
疑う気持ちが夜に増幅される。夜っていうのは比喩的なものでよく見えない状況や、モノ(他人の心のうち)であって実際の夜のことではないのかもしれない。

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