『ユピテルとイオ』(2019)荒廃した地球が舞台の、地球の終末SF。【Netflixオリジナル】

SF
!ネタバレ有りの感想です!

55点


荒廃した地球が舞台の、地球の終末SF。大気汚染で人間は地球に住めなくなり、大半の人は地球を捨ててどんどん宇宙へと出て行く。そんな中、地球を見捨てずに残り続ける意思を見せる少女が主人公。

『ユピテルとイオ』(2019)


出演:マーガレット・クアリー、 アンソニー・マッキー、 ダニー・ヒューストン

Netflix作品ページ

あらすじ

滅びゆく地球に残り、生存へのわずかな希望を模索し続ける若き女性科学者。だが宇宙行きシャトルの発射場へと急ぐ男と出会ったことで、その決意が揺らぎ始める。Netflix

新海誠の「ほしのこえ」を思い出す。

ゴジラのハリウッドリメイクみたいな感じで、「ほしのこえ」をアメリカ風に大幅な手を加えてリメイクしたらこんな感じになりそう…という映画。
地球に残り続ける主人公のサムと、先に宇宙へと言ってしまった恋人のイーロンはメッセージのやりとりをしているんだけど、イーロンが移住先のイオを離れて更に遠い宇宙へ行くことになり、連絡の間隔も今まで以上に離れてしまうと告げられる。
このあたりがすごく「ほしのこえ」。
登場人物が少なく、静かな雰囲気と進行もなんとなく似た匂いを感じる。

100%楽しむには多分神話や絵画の知識が必要

サムが旅立つ前にどうしても見たいといった絵画や、作品タイトルでもある「ユピテル」「イオ」(どちらもギリシャ神話の登場人物)からわかるように、ギリシャ神話やその辺の知識があって見ると、もっとこの作品の言いたいことがわかるんだと思う。
その辺の知識は皆無なので絵画のくだりとか正直ちょっとだるいし、よくわからん…。
地球の終末を静かに暗い映像で描いたところは良かった。

ラストにサムは行動を共にしていた男性・マイカと別れて、1人地球に残ることを選択し、1メートル先も見えないような霧のような空気の中で子供と浜辺に居るシーンで終わるわけだけども…。
子供はおそらくサムとマイカの子だろう。
サムがマイカに行為を強請った夜の台詞が印象的だ。できない、と断ろうとするマイカに対してサムは『やらなきゃ』と言っていた。
これはサムが子供を作らなきゃいけないと思っていたということではないだろうか。
このときからすでに、サムは1人地球に残り続けることを決めていたんじゃないかな。

美術館でサムはライターに火をつけ、火が紫だから地球の空気は大丈夫、回復していると言っていたけど、本当に回復していたのだろうか?
自分の体で実験をしていたサムが、この汚染された地球に適応できていただけではないのか。
ちなみに、冒頭のシーンでは高濃度のアンモニアが充満している場所でライターに火をつけ、濃度を計っている。
化学に対する知識もふんだんにあるわけではないので、ざっくり調べただけだが、アンモニアは無色でなおかつ炎色反応を起こさない。
これが正しいとするならば、この映画が科学的根拠を無視して雰囲気で作られたものであり、この辺の考察は全くの無意味である。もしくは、サムの科学知識(父から受け継いだもの)がデタラメだったか、だ。

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