『ジェラルドのゲーム』(2017)右手首が猛烈に痛い。

Netflix
!ネタバレ有りの感想です!

60点

ホラーは和製、洋製問わず、昔から苦手で避けに避けてきたジャンルだ。そもそもホラーというジャンルが(SFもだが)広過ぎて、中には美味しく頂けるものもあるだろうに、細分化されたジャンル分けだとネタバレになり兼ねないのか、はたまた陳列やその他のシステム的な理由なのか、しっくり来るジャンル分けはお目にかかったことがない。そんな理由もあって、”ホラー”と銘打たれたものは極力避けて生きてきた。

それを数年前変えたのが『CABIN』というホラー映画。トレーラーがSF設定を思わせる映像だったのに惹かれて見た。そしてホラーを克服した。むちゃくちゃ面白かったのである。ホラーの良さを垣間見たのである。
それ以来、ドラマ版『スクリーム』など、サイコスリラー、サイコホラーと言われる”人間”が恐怖の根源であるタイプを中心にホラーを楽しめるようになった。映画版『ミスト』とドラマ版『ミスト』でスティーブン・キングのホラーデビューも果たし、今回挑んだ『ジェラルドのゲーム』。

『ジェラルドのゲーム』(2017)


制作国:アメリカ
監督:マイク・フラナガン
脚本:スティーブン・キング(原作)
キャスト:カーラ・グギーノ、ブルース・グリーンウッド、ヘンリー・トーマス
Netflix作品ページ

しんどい…。
また暫くホラーと銘打たれたもの、デスゲーム系、要はスプラッター表現のある映画は避けよかな…と思うくらい。

ストーリーに翻弄される面白さはあるのでそれを味わいたいのならネタバレを読まずにしんどさを乗り越えることをオススメする。

あらすじで結末までざっくりネタバレするよ!

あらすじ

夫婦が別荘にやってきて、夫が妻に手錠を掛けてベッドに括り付ける。

強姦プレイに及ぼうとしたところで口論になり、夫が心臓発作で息絶える。妻は両手をベッドに繋がれたまま、為す術もなく、助けを呼ぶこともできない。別荘は山奥にあり、人も訪れ無ければ叫ぶ声も聞こえない。

夫の死肉を漁りに野犬が入って来て夫の皮膚を食いちぎる。助けがこない絶望的な状況と、すぐ側で野犬に夫が食われるという事態に妻は精神的におかしくなっていく。

夫と、もう一人の自分という幻覚が見え、更には死神らしき異形の存在までちらつき始める。
過去の痛ましい記憶と、幻覚との会話から、手首を切り裂いて無理矢理手錠から抜き取ることを決意。

手錠から手首を抜き取り、異形の存在を『あんたなんか存在しない』と言い放ち、結婚指輪を渡して車でなんとか別荘を抜け出し、生還する。

生還後、世間を賑わすシリアルキラーの存在を報道で知り、あの異形の死神らしき存在が妄想ではなく現実だったと知る。

右手首が猛烈に痛い。

手首を切り裂いて、手錠から引き抜くシーンが何よりもしんどい。ホラー映画を避けて生きてはいたものの、スプラッタ表現を全く見ずに生きてきたわけではない。ソウシリーズやCUBE、その他のデスゲーム系。シリアルキラーものなど…。斧で切断されたり、鉄線で首が飛んだり、身体の中から虫が肌を突き破って出て来たり、カミソリで眼球を切ったり、エレベーターで腕を切断されたり…人並みにはスプラッタ表現も観てきたと思う。

その中でもダントツでしんどかった。上記に挙げたような表現はリアリティがないからかここまでしんどくなかったんだろうか…。痛みをリアルに想像出来ないからだろうか…。かと言って手首が裂けて肌がずるむけになる感覚もリアルかって言われると…。
比較的地味な絵面の割にしんどさが半端ないのだ。しかしここがメインなのは観ていてわかる。この映画でピークなのもわかる。飛ばすわけにはいかない、エンディングに辿り着くために見るのを辞めるわけにもいかない。でも音さえしんどい。右手首が猛烈に痛い…。
よく漫画や映画で死体を見て吐く、グロいものを見て吐く、という表現があるが、それがこの延長線上にあるものだ、と思えるくらいにしんどかった。

死神もどきの男。

夫ともう一人の自分という幻覚から、死神らしき異形の存在も完全に主人公の妄想だと思い込まされる。(幻覚の)夫が唆すように囁く異形のものに対する話も、この男は人間でないと思い込ませてくる。
そして手錠を外した後の男と対峙する場面も、どう見ても男の容姿は人間とは思えないし、意識朦朧とした主人公が見せる幻覚だ、なのに犬はその存在に反応を示し、主人公が渡す指輪は床に落ちることなく男の手に収まり、帰還した後、指輪だけがどうしても見つからないという状況の不可解さ。この辺が1番ホラーっぽい。
主人公もこの異形の存在がいつか襲いに来るという妄想に囚われて眠れない夜を過ごす。

結局はこの男は異形の存在などではなく、生身の人間であった。別荘にも主人公の妄想でなく本当に来ていた、ということが明かされる。
人間とは思えない見た目は、先端肥大症という病気で伏線を回収し、シリアルキラーでちょっと頭のおかしい奴だったよってことで不可解な行動も回収している。

この辺はストーリーに翻弄される面白さが味わえるとこだと思うんだけど、如何せん手首の辺りで、ひーーー!ってなり過ぎてそれどころじゃなかった。

予告を見ておもしろそうだな!って飛び付いた自分を蹴り飛ばしたい。手首がひたすらしんどくて楽しむべき所を楽しめなかった感がすごい。
暫くホラー、スプラッタは見ないぞ!キングのホラーも飛びつかないからな!

タイトルとURLをコピーしました