映画『ユリゴコロ』(2017)ダメなタイプの実写化…原作を読んでくれ

Netflix
!ネタバレ有りの感想です!

40点

原作の小説『ユリゴコロ』が好きだ。
これはダメなタイプの!実写化!!
本1冊を2時間尺の映画に収めるのってそんなに難しいんだろうか…。難しいなら連ドラでやってほしかった。。

『ユリゴコロ』(2017)


出演:吉高由里子、 松坂桃李、 松山ケンイチ

Netflix作品ページ

あらすじ

次々と不幸に見舞われた亮介は、実家で1冊のノートを見つける。そこに書かれていたのは、ある女による殺人の記録。亮介は、この手記に不思議と心引かれてゆく。
Netflixより

改変された原作の設定

 

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実家で見つけた、私小説(日記)か創作小説、どちらとも取れる殺人の告白のノート。それを見つけてしまった主人公(松坂桃李)。ノートの真相は?明るみになる真実とは?って話。

映像化するにあたってかなりの設定的改変がある。
まず、消えている人物が多い。そしてその人物が原作小説『ユリゴコロ』の良さを際立たせるのに必要不可欠だった役だ。
吉高由里子演じる美沙子の妹、そして松坂桃李演じる主人公・亮介の弟の存在。
物語の主軸から欠いても成立するが、この二人は重要だった。この役が欠けているのは大きな痛手だ。
そして主人公の性格、木村多江演じる細谷の役回りにも改変が見られる。
主人公・亮介の性格はあんなに気性が荒く激しい感じではなかったと記憶してるんだけど…。あの気性の荒さのせいでラストが台無しなんだけど…。

原作『ユリゴコロ』はカタルシスを味わう物語。

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原作では母親の妹が、主人公亮介の幼少期に本当の母(美沙子)と入れ替わる(姉の存在に成り代わる)ことで主人公を育て、主人公が母の顔が子供のときに途中で変わった気がする…と自分の記憶を危ぶむ様子や、細谷が実は母親だったということがわかったときのカタルシスが半端なかったわけだよ…。
細谷の役回りも、ただ恋人の居場所を探ってくれるおばさん、じゃなくて、一緒に働いてきた気のいいおばちゃんが実は母親だったなんて!という見事騙されたという裏切りに「あぁ……」と感嘆し、そんな親密だった細谷が息子の代わりに殺人を犯すという…そういう下地が絶対的に必要だった。
映画の細谷が実は母親でしたー!主人公くんの代わりにやってくれましたー!じゃ感動も薄い。

何より、原作小説『ユリゴコロ』の魅力、私がすごい小説だ…好きだ…と思ったのはラストのカタルシス。あれが無ければ完成しない。
最後に全ての真実が明るみに出、複雑に絡み合っていたものが一本に繋がり、本当の母親を理解した主人公が”置いていかれる”、というあのシーン。
全てが解決したという心地よさの中で、幸福そうな両親を引き止めることもできずに離別を突きつけられるあの切なさ。
沼田まほかる女史の小説の肝であり、他で味わったことのない読後感だった。すごく好きなんだ…。

映画のラストもそれらしい雰囲気は出ていたものの、欠けている人物、設定のせいでその程度がかなり薄味になってしまっている…。くやしい。
頼む…原作を読んでくれ…。

吉高由里子だけは最高だった。最高に可愛くて最高に魅力的だった。

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